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皆さん、こんにちは。社会福祉士の石井雄樹です。
このブログでは、介護や福祉に携わる方に向けて、「短時間で好きな時間に分かりやすく学べる」をモットーに、研修内容や明日から使える介護・福祉に関する知識をご紹介していきます。
- 研修に使える資料がほしい
- 研修のポイントを知りたい
- パワーポイントに使える資料が欲しい
- 勉強したいけど、時間や費用はかけたくない
このブログを活用していただければ、勉強したいと思っている介護・福祉従事者の方はもちろん、研修を担当している方にとっても役立つ内容を得ることができます。
ソーシャルワーカーという仕事は、「人」と深く関わる職業です。目の前のご利用者やご家族の人生に寄り添い、その人らしい生活を支えるためには、自分自身をよく理解しておくことが欠かせません。
本記事では、ソーシャルワーカーに求められる「自己理解」について、バイアス・自己覚知・他者理解という3つのキーワードを軸に、具体例を交えながらわかりやすく解説していきます。
自己理解とは何か?

「自己理解」はソーシャルワークの出発点
自己理解とは、自分自身の考え方、感情、行動の背景にある価値観や経験を見つめることです。
ソーシャルワーカーは他者を理解し支援する職業ですが、それ以前にまず「自分とは何者か?」を知らなければ、支援は表面的なものになってしまいます。

キーワード①:バイアスに気づく
バイアスとは?
バイアスとは、自分でも気づかないうちに持っている偏った見方や思い込みのことです。
たとえばこんな経験はないでしょうか?
例1:生活保護を受けている人に対して、「働けばいいのに」と思ってしまった。
例2:家族との関係が悪いご利用者に対して、「本人に問題があるのでは」と決めつけてしまった。
これらは、自分の育った環境や価値観が影響して生まれる「無意識のバイアス」です。
キーワード②:自己覚知の力
自分を深く知ることが、支援の質を高める
自己覚知とは、「自分がなぜそう考えるのか、なぜそのように感じるのか」を意識化することです。
たとえば…
例:幼少期から「弱音を吐いてはいけない」と育てられた人は、感情表現が苦手な傾向があります。
そんな人が、感情をあらわにするご利用者に対して「うまく関われない」と感じることがあります。
このとき、「自分はなぜそう感じるのか」と立ち止まり、自分の背景や価値観に目を向けることが、自己覚知です。
キーワード③:他者理解につながる視点
「わかる」ではなく「わかろうとする」こと
支援の現場では、自分とは異なる価値観や文化を持った人と出会います。たとえば…
例:スピリチュアルな価値観を大切にしているご利用者の話を、あなたは心から聞けますか?
例:LGBTQの若者や、宗教的な価値観を持つ家族に対して、偏見なく接することができるでしょうか?
他者理解とは、自分のバイアスに気づき、それを乗り越えようとする姿勢のことです。
自己理解を深めるための視点

自己理解は、特別な時間をとって行うものではありません。日々の出来事の中で、こんなことを意識してみてください。
- 自分が大切にしている価値観は何か?
- 苦手なタイプの人は? なぜそう感じるのか?
- どんな場面でイライラしやすいか?
- どんなときに心が揺さぶられたか?
自分の感情に目を向けることが、自己理解の第一歩です。
カルチュラル・コンピテンスと自己理解

近年、支援の現場には多様な文化的背景を持つ方が増えています。
カルチュラル・コンピテンス(文化的適応力)とは、異なる文化や価値観を理解し、適切に関わる力です。
自己理解が不十分だと、無意識に相手を「普通じゃない」と判断してしまうこともあります。
だからこそ、
「自分は何を当たり前と思っているか?」
「自分の“常識”は、誰かの“非常識”かもしれない」
そんな視点を持つことが、他者との違いを受け入れる第一歩になります。
🧠 ワーク:あなたが大切にしているものは?
ソーシャルワーカーとして「自己理解」や「他者理解」を深めるためには、まず自分がどんな価値観を持っているのかに気づくことが大切です。
以下の6つの項目は、多くの人が「大切にしている」と感じやすいものです。まずはあなた自身がどれをどれくらい大切にしているか、優先順位をつけてみましょう。
▶️ 【STEP1】優先順位をつけてみよう
以下の6つの価値観に、1位〜6位までの順位をつけてみてください。(1位が最も大切)
項目 | あなたの順位(1〜6位) |
---|---|
健康(心身ともに元気であること) | |
家族・パートナーとの関係 | |
成長・学び(スキルアップや自己実現) | |
経済的安定(収入・住居・将来の安心) | |
自由(自分らしく生きること、選択できること) | |
他者からの承認・評価(認められたい、感謝されたい) |
▶️ 【STEP2】グループワーク:価値観の違いを体感する
順位をつけたら、グループ内でそれぞれ発表してみましょう。
- なぜその順番にしたのか?
- 他の人の順位を聞いて、意外だったことは?
- 自分と他者の「ものの見方」「大切にしているもの」の違いはどこにある?
💡 このワークの目的
- 自己覚知:自分の価値観に気づく
- バイアスに気づく:他者にも違った価値観があると知る
- 他者理解:自分と違う順番でも「それも正しい」と思える視点を持つ
📝 ふりかえりポイント
- 他の人の価値観を聞いて、どんな気づきがありましたか?
- 自分の順位は、今の自分の状況や経験にどう影響されていますか?
- 過去の自分だったら順位は変わっていたと思いますか? もしそうなら、それはなぜ?
🎯 このワークが教えてくれること
このワークは、「自分の価値観=みんなの価値観」ではないということを体験的に教えてくれます。
ソーシャルワークの現場では、自分とはまったく違う価値観で生きている人と出会うことが多くあります。
だからこそ、自分の軸を持ちつつも、他者の価値観も認め、尊重できる柔軟さが求められるのです。
まとめ:ソーシャルワーカーに求められる自己理解とは
- 自己理解は、自分の価値観・感情・バイアスに気づくことから始まる
- 自己覚知が深まることで、他者への共感と支援の質が高まる
- 多様な価値観に出会うために、カルチュラル・コンピテンスも不可欠
最後に
あなたは、自分自身をどれくらい理解していますか?
そして、その「自分の理解」が、他者との関わりにどのように影響しているか、振り返ったことはありますか?
苦手な上司・部下の理由と解決策がわかる!伝え方コミュニケーション検定
ソーシャルワーカーは、「支援する側」である前に、ひとりの人間です。だからこそ、自分の内面を見つめることが、誰かの支えになる力になるのです。