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皆さん、こんにちは。社会福祉士の石井雄樹です。
このブログでは、介護や福祉に携わる方に向けて、「短時間で好きな時間に分かりやすく学べる」をモットーに、研修内容や明日から使える介護・福祉に関する知識をご紹介していきます。
- 研修に使える資料がほしい
- 研修のポイントを知りたい
- パワーポイントに使える資料が欲しい
- 勉強したいけど、時間や費用はかけたくない
このブログを活用していただければ、勉強したいと思っている介護・福祉従事者の方はもちろん、研修を担当している方にとっても役立つ内容を得ることができます。
今回の記事では、「介護職員のための倫理及び法令遵守」の内容をご紹介していきます。
倫理や法令遵守に関する研修は、非常に幅広い内容になります。今回は「介護福祉士会倫理綱領」の内容に触れながら解説していきますので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
倫理及び法令遵守に関する研修動画
倫理及び法令遵守に関する研修の目的
今回の研修では、介護現場で必要な倫理観の理解と、法令に基づいた正しい行動を学びます。これらは、介護職員としての基本であり、大切な土台です。
- 倫理観の理解
- 法令に基づいた行動
この2つを意識して、研修に望んでいただきたいと思います。
倫理観の理解とは
倫理観とは、ご利用者の尊厳と権利を守り、信頼関係を築く基盤です。
適切な判断と行動により、安全で質の高いサービス提供を実現し、介護職員としての責務を全うするために不可欠です。
適切な判断と行動により、安全で質の高いサービス提供を実現します。これにより、介護職員としての責務を全うすることが可能になります。
法令に基づいた行動とは
法令に基づいた行動をすることは、ご利用者の安全と信頼を守るだけでなく、介護職員自身や事業所を法的リスクから守ります。
公正で質の高い介護を提供し、地域社会における信頼を築くための重要な責務です。
倫理や法令遵守が求められる理由
介護現場において倫理及び法令遵守がなぜ重要なのか、次の「3つの視点」から考えていきます。
- ご利用者の尊厳と人権を守る
- 法的責任を果たす
- 信頼されるサービスの提供
それぞれ、わかりやすく解説します。
1.ご利用者の尊厳と人権を守る
まず、最も重要な視点は「ご利用者の尊厳と人権を守る」ことです。
私たち介護職員は、ご利用者が抱える身体的・精神的な課題に向き合う責務があります。その際、一人ひとりの「人権」と「尊厳」を常に尊重する姿勢が求められます。
例えば、プライバシーを侵害するような行為や、ご利用者が望まないサービスを押し付けることは、重大な問題を引き起こします。これらを避けるためにも、倫理観を持った行動が必要です。
2.法的責任を果たす
次に「法的責任を果たす」ことについて考えます。
介護保険法や高齢者虐待防止法など、私たちには守るべき法律が多く存在します。これらを遵守しない場合、職場全体の信頼を失うだけでなく、最悪の場合、法的責任を問われる可能性があります。
法律を正しく理解し、それに基づいた行動をとることで、安心して働ける環境を作り出すことができます。
3.信頼されるサービスの提供
最後に「信頼されるサービスの提供」です。
私たち介護職員は、ご利用者やそのご家族にとって生活の一部を預ける重要な存在です。
倫理観に従い、法令を守る行動を積み重ねることで、ご利用者やそのご家族からの信頼を得ることができます。この信頼は、私たちの仕事の基盤とも言えるでしょう。
倫理の定義と介護職の役割
倫理とは、「人として守るべき道」、つまり正しい行動や判断を導くための基準です。
私たち介護職員は、この基準に従って行動することで、ご利用者に安心感と信頼を提供することができます。
具体例として、日常業務での挨拶や態度が挙げられます。一見小さな行動に見えるかもしれませんが、これらがご利用者の気持ちに大きな影響を与えることを忘れてはなりません。
次に、介護現場における倫理の役割について考えていきましょう。
倫理的な行動とは、ご利用者の尊厳を守るだけでなく、信頼関係を築くための基盤でもあります。
例えば、些細なミスや不注意が信頼を損なう可能性がある一方、誠実な対応や丁寧な説明が信頼を大きく深めることもあります。
このように、私たちの行動一つひとつが、ご利用者が安心してサービスを利用するための鍵を握っています。
「日常業務での挨拶や態度といった小さな行動一つひとつが、ご利用者の気持ちに大きな影響を与えることを理解しておくこと」――この言葉の意味を心に刻み、私たち自身の行動を振り返るきっかけとしましょう。
倫理が乱れた時の行動や思考
ここでは、倫理観が乱れた時に、どのような状態になるのかをいくつかの例を確認しながら、見ていきましょう。
- 他人の事はどうでもいい。自分が良ければそれでいい
- 嫌なこと、面倒なことは人に押し付け自分はやらない
- 見つからなければ何をしてもよい
- 嫌いな人や同僚・上司の悪口や愚痴を言いふらす
- 誰にも迷惑掛けていないという理由でルールを守らない
- 別に問題ないので法律を守らない
- 自分の思い通りにいかないことには、強い口調や態度・暴力により訴える
倫理が乱れると、職場全体に以下のような影響を及ぼします。
- ご利用者の安全や信頼の喪失
- 職員間の不和やストレスの増加
- 施設全体の信用低下
私たちはこれを防ぐために、自分自身の行動や思考を見直し、常に倫理観を持つことが必要です。
倫理が乱れる要因
倫理が乱れる要因として以下のようなことがあげられます。
- 人手不足
- 認知症の方への対応
- 不規則な勤務形態
- 業務に追われるストレス
このような要因が重なると、職員が常に平常心を保つことは非常に困難です。しかし、平常心を失った行動は、ご利用者や同僚、さらには自身に悪影響を与えるリスクを高めます。
日本介護福祉士会倫理綱領
なかなか見る機会がないと思いますので、研修などで見ていただくと良いと思います。
前文
私たち介護福祉士は、介護福祉ニーズを有するすべての人々が、住み慣れた地域において安心して老いることができ、そして暮らし続けていくことのできる社会の実現を願っています。
そのため、私たち日本介護福祉士会は、一人ひとりの心豊かな暮らしを支える介護福祉の専門職として、ここに倫理綱領を定め、自らの専門的知識・技術及び倫理的自覚をもって最善の介護福祉サービスの提供に努めます。(利用者本位、自立支援)
- 介護福祉士は、すべての人々の基本的人権を擁護し、一人ひとりの住民が心豊かな暮らしと老後が送れるよう利用者本位の立場から自己決定を最大限尊重し、自立に向けた介護福祉サービスを提供していきます。
(専門的サービスの提供)
- 介護福祉士は、常に専門的知識・技術の研鑽に励むとともに、豊かな感性と的確な判断力を培い、深い洞察力をもって専門的サービスの提供に努めます。
また、介護福祉士は、介護福祉サービスの質的向上に努め、自己の実施した介護福祉サービスについては、常に専門職としての責任を負います。(プライバシーの保護)
- 介護福祉士は、プライバシーを保護するため、職務上知り得た個人の情報を守ります。
(総合的サービスの提供と積極的な連携、協力)
- 介護福祉士は、利用者に最適なサービスを総合的に提供していくため、福祉、医療、保健その他関連する業務に従事する者と積極的な連携を図り、協力して行動します。
(利用者ニーズの代弁)
- 介護福祉士は、暮らしを支える視点から利用者の真のニーズを受けとめ、それを代弁していくことも重要な役割であると確認したうえで、考え、行動します。
(地域福祉の推進)
- 介護福祉士は、地域において生じる介護問題を解決していくために、専門職として常に積極的な態度で住民と接し、介護問題に対する深い理解が得られるよう努めるとともに、その介護力の強化に協力していきます。
(後継者の育成)
- 介護福祉士は、すべての人々が将来にわたり安心して質の高い介護を受ける権利を享受できるよう、介護福祉士に関する教育水準の向上と後継者の育成に力を注ぎます。
機会がある時に、全ての職員に一度目を通していただきたいと思います。
日本介護福祉士会倫理基準(行動規範)
倫理綱領の内容を基に、より具体的に記載してあるのが行動規範です。
こちらも一度目を通していただくことをお勧めします。
日本介護福祉士会では、より具体的な倫理上の行動指針を示すため、会員が取るべき行動に係る倫理基準(行動規範)をお示ししています。
日本介護福祉士会 倫理基準(行動規範)
(利用者本位、自立支援)
- 介護福祉士は、利用者をいかなる理由においても差別せず、人としての尊厳を大切にし、利用者本位であることを意識しながら、心豊かな暮らしと老後が送れるよう介護福祉サービスを提供します。
- 介護福祉士は、利用者が自己決定できるように、利用者の状態に合わせた適切な方法で情報提供を行います。
- 介護福祉士は、自らの価値観に偏ることなく、利用者の自己決定を尊重します。
- 介護福祉士は、利用者の心身の状況を的確に把握し、根拠に基づいた介護福祉サービスを提供して、利用者の自立を支援します。
(専門的サービスの提供)
- 介護福祉士は、利用者の生活の質の向上を図るため、的確な判断力と深い洞察力を養い、福祉理念に基づいた専門的サービスの提供に努めます。
- 介護福祉士は、常に専門職であることを自覚し、質の高い介護を提供するために向上心を持ち、専門的知識・技術の研鑚に励みます。
- 介護福祉士は、利用者を一人の生活者として受けとめ、豊かな感性を以て全面的に理解し、受容し、専門職として支援します。
- 介護福祉士は、より良い介護を提供するために振り返り、質の向上に努めます。
- 介護福祉士は、自らの提供した介護について専門職として責任を負います。
- 介護福祉士は、専門的サービスを提供するにあたり、自身の健康管理に努めます。
(プライバシーの保護)
- 介護福祉士は、利用者が自らのプライバシー権を自覚するように働きかけます。
- 介護福祉士は、利用者の個人情報を収集または使用する場合、その都度利用者の同意を得ます。
- 介護福祉士は、利用者のプライバシーの権利を擁護し、業務上知り得た個人情報について業務中か否かを問わず、秘密を保持します。また、その義務は生涯にわたって継続します。
- 介護福祉士は、記録の保管と廃棄について、利用者の秘密が漏れないように慎重に管理・対応します。
(総合的サービスの提供と積極的な連携、協力)
- 介護福祉士は、利用者の生活を支えることに対して最善を尽くすことを共通の価値として、他の介護福祉士及び保健医療福祉関係者と協働します。
- 介護福祉士は、利用者や地域社会の福祉向上のため、他の専門職や他機関と協働し、相互の創意、工夫、努力によって、より質の高いサービスを提供するように努めます。
- 介護福祉士は、他職種との円滑な連携を図るために、情報を共有します。
(利用者ニーズの代弁)
- 介護福祉士は、利用者が望む福祉サービスを適切に受けられるように権利を擁護し、ニーズを代弁していきます。
- 介護福祉士は、社会にみられる不正義の改善と利用者の問題解決のために、利用者や他の専門職と連帯し、専門的な視点と効果的な方法により社会に働きかけます。
(地域福祉の推進)
- 介護福祉士は、地域の社会資源を把握し、利用者がより多くの選択肢の中から支援内容を選ぶことができるよう努力し、新たな社会資源の開発に努めます。
- 介護福祉士は、社会福祉実践に及ぼす社会施策や福祉計画の影響を認識し、地域住民と連携し、地域福祉の推進に積極的に参加します。
- 介護福祉士は、利用者ニーズを満たすために、係わる地域の介護力の増進に努めます。
(後継者の育成)
- 介護福祉士は、常に専門的知識・技術の向上に励み、次世代を担う後進の人材の良き手本となり公正で誠実な態度で育成に努めます。
- 介護福祉士は、職場のマネジメント能力も担い、より良い職場環境作りに努め、働きがいの向上に努めます。
法令遵守の重要性
介護職員が業務を行う上で、関連する法令を理解し、それに基づいて行動することは必須です。
- 法令を守ることで、ご利用者の安心・安全を確保できます。
- 法令遵守は、自分自身や職場を守ることにもつながります。
今回は、特に重要な法令として「介護保険法」「高齢者虐待防止法」「個人情報保護法」についてまとめていきます。
介護保険法
介護保険法には、以下の3つの目的があります。
- 高齢者が自立した生活を送る支援
- 家族の介護負担の軽減
- 地域社会全体での支え合い
介護保険法の目的や要点を理解することは重要ですが、さらに大切なのは、これを日常業務の中でどう実践するかです。
例えば、介護記録を適切に管理したり、サービス提供時にご利用者の意思を尊重することが挙げられます。
介護保険法は、ご利用者・家族・地域社会を支える仕組みの基盤です。この法律の意図をしっかり理解し、業務に活かすことで、より良い介護サービスを提供していくことが求められます。
高齢者虐待防止法
高齢者虐待防止法は、高齢者の人権を尊重し、虐待の発生を防ぐための法律です。この法律の重要なポイントは、虐待を事後的に対処するだけでなく、未然に防ぐことを目指している点です。
- 早期発見・早期対応の義務
- 予防のための倫理的行動
- 職場環境の改善
高齢者虐待防止法を理解するだけでなく、現場での行動に落とし込むことが求められます。
高齢者虐待防止法は、ご利用者の安全と尊厳を守るための法律です。
私たちが法律をしっかり理解し、日常の中で活かしていくことで、安心できる介護環境を作ることができます。これからも、一人ひとりが意識して取り組んでいきましょう。
個人情報保護法
個人情報保護法の目的は、以下の3つです。
- 個人の権利と利益の保護
- 安心できる社会の実現
- 情報の適切な活用
個人情報保護法は、ご利用者の信頼を確保し、安全な介護サービスを提供するための基盤です。
この法律をしっかり理解し、日々の業務の中で適切に運用することで、より安心できる環境を作ることができます。引き続き意識して取り組んでいきましょう。
法令違反が事業所に与える影響
法令違反が事業所にどのような影響を与えるかについて具体的に説明します。
- 「違法行為」として扱われる
- 適正な運営が行われていなければ「指導」等の対象となる
- 運営が改善されなければ「減算」「指定取り消し」などの処分が下される
- 事業所の信頼失墜につながる
- 介護業界全体のイメージダウンにつながる
法令違反が事業所に与える影響は、単なる内部の問題に留まらず、地域社会や業界全体にまで広がる可能性があります。
私たちは、一人ひとりが法令を守り、適正な運営を心がけることで、事業所や業界の信頼を維持していく責任があります。
法令遵守のための具体的な取組
法令遵守を実現するために現場で取り組むべき具体的な方法についてお話しします。
- 定期的な研修の実施:法改正や新しいルールに対応するためには、知識を定期的に更新することが重要です。そのために、職場で定期的な研修を実施することが求められます。
- マニュアルの活用:法令に基づく職場のマニュアルを活用し、行動基準を明確にしておくことも重要です。
- 記録の徹底:ご利用者に提供したサービス内容を正確に記録し、必要に応じてチェックすることで、問題発生時にも適切に対応できます。
- 職場内のコミュニケーション:気になる行動や判断があれば、同僚や上司に相談し、問題が拡大する前に対応することが求められます。
- チェックリストの活用:日々の業務にチェックリストを導入することで、法令違反のリスクを最小限に抑えることができます。
法令遵守は、職員一人ひとりが意識を持って取り組むことで実現可能です。
これらの具体的な方法を日々の業務に取り入れ、より良い介護環境を作ることを目指しましょう。
まとめ
介護の現場は、時に困難な課題やストレスに直面することもありますが、私たちの行動がご利用者や社会にとって大きな影響を与えることを忘れないでください。倫理観と法令遵守を実践することで、皆さん自身の仕事への誇りを深め、職場全体の信頼を高めることができます。
この研修で学んだことを胸に、日々の業務の中で実践していきましょう。皆さん一人ひとりの努力が、より良い介護環境の実現につながると確信しています。