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皆さん、こんにちは。社会福祉士の石井雄樹です。
このブログでは、介護や福祉に携わる方に向けて、「短時間で好きな時間に分かりやすく学べる」をモットーに、研修内容や明日から使える介護・福祉に関する知識をご紹介していきます。
- 研修に使える資料がほしい
- 研修のポイントを知りたい
- パワーポイントに使える資料が欲しい
- 勉強したいけど、時間や費用はかけたくない
このブログを活用していただければ、勉強したいと思っている介護・福祉従事者の方はもちろん、研修を担当している方にとっても役立つ内容を得ることができます。
「環境が人を育てる」とはよく言われますが、その逆もある。環境が人を壊すこともある。
そんな風に感じたことはありませんか?
もちろん、すべてを環境のせいにする気はありません。
でも、どれだけ努力しても、いや努力すればするほど潰れてしまう職場が、確かに存在します。
- 真面目な人ばかり仕事が集中する
- 優秀な人が正当に評価されない
- 問題のあるベテランが放置されている
- 新人が育たず、次々と辞めていく
生活相談員として現場を見続けてきた私が、今回は「人を潰す職場」の特徴と構造を、3つの視点から明らかにします。
環境が人を育てる?それとも、壊す?
環境は人を育てるだけじゃない。潰すこともある。これは、特養の現場で働く私が何度も見てきた現実です。
本人に問題があるわけではない。むしろ真面目で努力家な人ほど、壊れていく。
人を潰す労働環境の特徴とは?

断らない人にばかり仕事が集まる
「あの人ならやってくれる」
「あの人に頼めば安心」
こうして真面目な人がどんどん追い詰められていきます。
➡️ 報酬も評価も変わらないのに、責任とストレスだけが増える。
問題のあるベテランが放置されている
- 「長くいるから仕方ない」と諦められている
- 注意されない、注意できないように振る舞っている
- 改善されない、変化を拒む
➡️ その結果、若手や新人がどんどん辞めていく悪循環。
形だけの教育システム
- 指導者のスキル・知識・モチベーションにムラがある
- 形だけのマニュアルで、属人化が進んでいる
- 困っていても聞けない環境がある
➡️ 新人が孤立し、自信を失っていく…それが“潰れる”第一歩。
潰すのは“先輩”か?それとも“上司”か?

「先輩」が職員を潰すとき
- 自分の時代の価値観を押し付けてくる「見て学べ」スタイルなど
- 新人の失敗が教えている自分の責任になる
- イライラなどの感情を後輩に向ける
➡️ 後輩を育てるどころか、自分の不満のはけ口にしてしまうことも。
「上司」が職員を潰すとき
- 「みんな我慢して頑張っている」という圧力
- 問題のある職員が放置されており、組織改革をしない
- 相談しても何も進捗しない
➡️ 見て見ぬふりは、何もしていないのと同じ。
潰されるのは“同僚”からかもしれない──職員間の摩擦が生む静かな圧力

潰すのは先輩でも上司でもない。
同じフロアで働く“同僚”からの無言の圧力、これこそが地味に効いてくることがあります
いつも“空気を読まされる”現場
- 誰が機嫌が悪いかを探りながらシフトに入る
- 休憩室では話題に入れず、孤立する
- ちょっとした発言で「影で何か言われてるかも」と気を張る
➡️ 「物理的なパワハラがなくても、心理的な排除」は確かに存在します。
看護 vs 介護──職種間のマウンティング構造
特養の現場では、看護と介護という専門性の異なる職種がぶつかることがしばしばあります
- 「医療のことは、こっちが決まる」「看護が言ってるんだから…」
- 「現場のことや利用者のことをわかってるのは自分達だ」
- どっちが正しい、どっちが偉いといった無駄な関わり
➡️ マウンティングは言葉でなく“態度”で行われ、職場の空気をじわじわと重くします。
そしてその摩擦の中で、無力感を抱くのは新人や中堅、特に間に立たされる生活相談員やケアマネなどの“調整職”であることが多い。
変わろうとする人から先に辞めていく職場の現実

「このままではダメだ」「職場を良くしたい」――そう思って行動した人が、なぜか最初に辞めていく。
そんな職場を、私は何度も見てきました。
やる気のある人が孤立する構造
- 一生懸命「改善案」を出す
- 手順を整理して「マニュアル化」を進め属人化を防ぐ
- チームのコミュニケーションを活発にしようと奮闘する
➡️ その姿勢に対して返ってくるのは、無言の拒絶感や、陰での文句。
「また何か言っている」「忙しいのに仕事増やして面倒くさい奴だ」「お前らが自分たちでやれよ、関係ない」
行動した人が“悪目立ち”してしまい、誰も手を貸さない。そして、本人だけが疲弊し、やがて職場を去る――
そんな理不尽な構造が、改善の芽を潰していくのです。
「考えることを放棄した職員」が職場を鈍化させる
- 「どうすればいいのか分からないので…」
- 「上の人が決めてくださいよ」
- 「何も指示やお願いされてないんで…」
➡️ “指示待ち職員”が集団化すると、職場全体が変わらなくなる。
そしてその重たい空気の中で、「考える人」「行動する人」が居場所を失っていきます。
生活相談員として伝えたい「守るべき人が潰されている」

私は、特養で生活相談員として働くなかで、ご利用者やご家族だけでなく、職員の声、悩み、涙にも向き合ってきました。
- 「自分は弱いんでしょうか」
- 「私が悪いんですか?」
- 「あんなふうに言われるなら、もう黙っていた方がマシかも」
そうつぶやく職員の多くは、真面目で、誠実で、現場を良くしようと本気で思っていた人たちです。
でも、そんな人が潰れていく。本当は守られるべき人が、誰にも守られず、静かに去っていく。
これは、個人の弱さではなく、環境の力で人が壊されている構造に他なりません。
「職場を良くしよう」とした人が、なぜ責められるのか
- 意見を出した
- 手順を整えようとした
- 後輩を育てようとした
- 無理のあるやり方に疑問を呈した
それだけで、「またあの人が何か言ってる」「空気が読めない」「うるさい」と、陰で文句を言われ、いつのまにか浮いた存在になってしまう。
変わろうとした人が居づらくなる職場に、未来はありません。
「変わらない人」ではなく「変えようとする人」が潰れる職場の末路
考えることをやめた人、責任を負わずに済むように何もしない人、それを「うまく立ち回ってる」と称賛するような空気。
そんな職場は、真剣に考え、現場を変えようとする人たちが次々といなくなり、やがて誰も本気で働かなくなります。
そして残されるのは、「言われたことだけやる人」「誰も指摘しない空気」「気づいても見て見ぬふり」――
つまり、育てる力も、支える力も、なくなった職場です。
私たちが守るべきは、「声を上げた人」
本当に守るべきは、「変わろう」と声を上げた人たちです。
- 正しいことを言った人
- 仕組みをよくしようと動いた人
- 新人を本気で育てようとした人
- ご利用者やご家族のために「これではいけない」と感じた人
その人たちが「空気を壊した人」として扱われ、孤立し、疲れ、辞めていくのは、あまりにも悔しい。
声を上げた人が残れる職場に変えていかなければ、本当に守るべきものが守れなくなる。
「あなたは弱くない」──その違和感は、間違っていない
今の職場で、あなたが「いつも気を使ってばかりいる」「理不尽なやり方を見過ごすのがつらい」「おかしいと思っても何も言えない」と感じている。
それは、あなたの心が繊細だからでも、弱いからでもない。職場の空気が、誰かを潰す方向に傾いている証拠です。
最後に:人を育てる職場に、あなたが希望を持てるように
人を育てる職場とは、こういう場所です。
- 「ありがとう」が自然に言える
- ミスがあっても責めずに一緒に仕組みを考える
- 自分の意見を言っても否定されない
- 変わろうとする人を応援する
それが、人が育ち、人が残り、チームが強くなる土壌です。
そしてそのスタートは、「自分はおかしくない」「自分の感覚を信じていい」と気づくことから。
どうかあなた自身が、潰れてしまう前に、声を上げる勇気を持ってください。
そして願わくば、誰かを守れる側に回ってください。
人を育てる側に立ちたい。――そう思うあなたは、もう十分に優しく、強い人です。