【実践スキル】介護職員のためのチームケアを実現する心理的安全性の作り方~活気のある職場~

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【実践スキル】介護職員のためのチームケアを実現する心理的安全性の作り方~活気のある職場~

 皆さん、こんにちは。福祉施設の研修講師「いし~ちゃん」です。

 このブログでは、介護や福祉に携わる方に向けて、「短時間で好きな時間に分かりやすく学べる」をモットーに、研修内容や明日から使える介護・福祉に関する知識をご紹介していきます。

  • 研修に使える資料がほしい
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  • 勉強したいけど、時間や費用はかけたくない

 このブログを活用していただければ、勉強したいと思っている介護・福祉従事者の方はもちろん、研修を担当している方にとっても役立つ内容を得ることができます。

 今回の記事では、「介護現場の心理的安全性の作り方」の内容をご紹介していきます。

 心理的安全性が確保されている現場では、様々な意見やアイデアが出やすく、活気のある職場となり、職員が安心して働ける環境が整っています。

心理的安全性とは?

 心理的安全性とは「チームの中で、安心して自分の意見を言ったり、行動したりすることができる」ということが、チームのメンバー内で共有できていることを言います。

 具体的には、以下のようなことを指します。

  • 自分の意見を自由に言うことができる
  • 他者と違う意見であっても伝えることができる
  • 他者と意見が違っていることで人間関係が壊れない
  • 意見の相違をお互いが理解した上で、目的のために活発に議論を行える
  • 職場の全員が、自分の意見を持っている

 このような状態にあることが、心理的安全性が高い組織であると言えます。

心理的安全性が低いとどうなるのか?

 心理的安全性が低いと、周りを気にしたり、誰かに判断を委ね、自分の意見を持たなくなったりしてしまい、閉鎖的な組織になってしまいます。

  • 自分の意見を言ったら嫌な想いをさせるかもしれない
  • 自分の意見を言ったら否定されたり、怒られたりするかもしれない
  • 自分の意見を言ったら、嫌われるかもしれない

 このような心理状態でメンバーが業務に携わっている組織は、心理的安全性が低い組織であると言えます。

介護現場に心理的安全性が必要な理由

 介護は、個人の判断のみで行われるものではなく、介護職員同士や多職種との連携が欠かせない仕事です。

 様々な考え方や価値観、職種の専門性がある中で、お互いに協力し合いながら介護を実践していかなければなりません。

 心理的安全性が確保された環境では、職員は自分の意見や提案を自由に考えられるようになります。これにより、組織全体がより創造的で効果的なアイデアを出し合い、問題に対処することができ、ケアの質向上や業務の効率化につながっていきます。

 また、介護現場ではしばしば介護事故やミスが起こります。心理的な安全性が高いと、職員はミスや問題を報告しやすくなります。逆に心理的安全性が低いと、問題が隠蔽され、改善の機会を逃すことになります。

 働きやすい環境を作っていく上で、心理的安全性が高く保たれていることが重要になります。

心理的安全性と仕事の基準の関係

 上記の表は、心理的安全性とその職場に求められる仕事の基準との関係性を表したものです。

 大きく4つに分類されます。

  1. キツい職場(厳しく辛い)
  2. ヌルい職場(危機感が足りない・向上心がない)
  3. サムい職場(無関心・無気力)
  4. 理想の職場(向上心と高いパフォーマンス)

 それぞれの特徴を確認していきましょう。

キツい職場(厳しく辛い)

 求められる仕事の基準が高くされている一方、自分の意見や考えを伝えることが難しく、厳しく辛い職場であると言えます。

 いわゆるブラック企業と言われるものに近いかもしれません。

 上司が有能である場合も多く、自分の仕事の基準を他者にも押し付けてくるため、付いていけなくなる職員も出てきてしまいます。

 お互いに助け合ったり、アイデアを出し合ったりというチームワークはなく、かつ厳しいノルマに課せられるため、不安度が高く使い潰されていくような職場だということになります。

ヌルい職場(危機感が足りない・向上心がない)

 心理的安全性が高ければ良い職場であるというわけではありません。

 いわゆるアットホームな雰囲気の職場と言われるものです。

 仕事の基準とは、介護サービスで考えれば、サービスの質です。この基準が低いということは、仕事の妥協点が低いレベルで設定されている状態です。

 認知症の方が困っていても「認知症だから仕方ないよね。」ときちんとアセスメントをしなかったり、施設研修の内容が毎年同じ内容のままだったりします。

 このような職場では、向上心があり成長したいと考えている職員が定着しません

 そのため、無能な職員同士が傷を舐め合うだけの職場になってしまいます。

サムい職場(無関心・無気力)

 仕事の基準が低く、心理的安全性も低い職場は互いに干渉せず、黙々とただ自分のことだけに取り組んでいる職場です。

 全てがそうではありませんが、役所などに近いイメージです。

 「怒られないようにする」、「余計なことは言わない」、「言われたことだけをする」という状況です。

 お互いに干渉しないため、一見安心できる環境に見えますが、大きなリスクに気づいたとしても、職場の雰囲気を悪くしたくない気持ちであったり、自分には責任はないと責任転嫁したりしてしまいます。

 例えば、ご利用者の体調不良に気づいていたり、床が濡れて滑りやすくなっていることに気づいていたりしても、声に出さず何も対処しない状態です。

 結果として急変や転倒など、取り返しのつかないトラブルが起こる可能性が大きい職場なってしまいます。

理想の職場(向上心と高いパフォーマンス)

 仕事の基準が高く、かつ心理的安全性も高いとき、チームメンバーは向上心に溢れ、高いパフォーマンスが得られることとなります。

 まさに理想の職場と言える環境です。

 お互いに意見を出し合い、目的の達成のために試行錯誤しながら成長していける組織です。

心理的安全性実現のための4つの因子

 では、理想の職場(心理的安全性が高く、仕事の基準が高い)にするには、どうすれば良いのかを解説していきます。

 心理的安全性が高い職場では、次の4つの因子があげられます。

  1. 話しやすさ
  2. 助け合い
  3. 挑戦
  4. 新奇歓迎

 それぞれ詳しく解説していきます。

心理的安全性実現因子①:話しやすさ

 話しやすさとは、どのような状況であっても自分の意見を述べられる安心感のことです。これが、心理的安全性の実現のために最も重要な因子となります。

  • 自分だけ意見が違っていても、それを伝えることができる
  • 「問題」「リスク」に気づいたときに、すぐに声にあげることができる
  • 知らない、分からないことをすぐに聞くことができる

 上記のようなことが意識的にできている状況が「話しやすさ」につながっていきます。

心理的安全性実現因子②:助け合い

 助け合いとは、困った時はお互い様であるという考え方です。困った時に助け合える関係性は、心理的安全性につながります。

  • 問題に対して人を責めるのではなく、解決策を考える雰囲気
  • リーダーやメンバーは、いつでも相談にのってくれる環境

 上記のようなことが常日頃から行えている状況が「助け合い」につながっていきます。

心理的安全性実現因子③:挑戦

 挑戦とは、文字通り新しいことに取り組む姿勢のことです。現状に満足することなく、常に新しいことに挑戦できる雰囲気は、心理的安全性につながります。

  • 前例のないことに挑戦し、取り入れることができる
  • アイデアをチームに共有することができる

 挑戦しない組織というのは、現状維持ではなく退化している組織です。常に新しいことに興味を持ち、行動していくことが、組織の成長につながる「挑戦」となります。

心理的安全性実現因子④:新奇歓迎

 新奇歓迎とは、多様性を認めるということ、異才や個性を組織のために存分に発揮するということです。思いがけない考え方が、チームの停滞を打開することにつながることがあります。

  • 役割に応じて強みや個性を発揮する
  • 様々な視点、ものの見方や考え方を取り入れられる

 弱点にのみ目を向けるのではなく、強みを存分に発揮できる環境や雰囲気づくり、役割分担が実践できると、チームの成長や課題解決につながっていきます。

心理的安全性のためのリーダーの役割

 心理的安全性の実現のために、リーダーの役割は欠かせません。

 リーダーが意識的に行動することで、チームメンバーも考え方や価値観を共有し、心理的安全性の実現につながっていきます。

 リーダーの役割として次の3つがあげられます。

  1. 「意見を言う」ことの価値を浸透させる
  2. 「意見」を取り入れる仕組みづくり
  3. どんな「意見」も受け入れる風土づくり

 それぞれ、具体的に整理していきます。

リーダーの役割①:「意見を言う」ことの価値を浸透させる

 誰もが自分の意見を持ち、自由に発言できることが、心理的安全性の実現には必要です。

 この価値の浸透には、次の4つの考え方をチームメンバーに理解してもらうことが必要です。

  1. 組織への責任を促す
  2. 介護の専門職としての役割
  3. 組織に対する責任を促す
  4. 地域社会に対する責任を促す

組織への責任を促す

 組織に属するメンバーは、その組織の介護理念の実現に向けて貢献することが求められます。すなわち、組織への責任を負うことになります。

 より良い介護を実現していくために自分の「意見」を発することは、ある意味当たり前で、義務的なものであるという価値観を浸透させることが必要です。

介護の専門職としての役割の理解

 介護の仕事として果たすべき役割を理解することです。

 介護職員は、より良い介護サービスを提供する専門家としての職務を全うすることが求められており、介護の職務に対する責任を負っていることを理解してもらうことが必要です。

組織に対する責任を促す

 職場をより良くするために、現状に対する問題意識、問題提起を促していくことです。

 組織のメンバーとして、個々の介護職員は、組織を良くするための責任をそれぞれが負っているという価値観を理解し、共有していくことが必要です。

地域社会に対する責任

 これまでの3つの内容を理解し、体現していくことが、地域社会への責任を果たすことにつながります。

 私たちの仕事は、地域社会になくてはならない仕事です。地域社会に貢献していくことが、私たちの責務であることを理解しておくことが必要です。

リーダーの役割②:「意見」を取り入れる仕組みづくり

 通常業務内の「報連相」の他に、オープンな意見交換の場を設定することが重要です。

 「勉強会」「研修会」「委員会」などで、普段の業務ではなかなか話せない内容を話す場面を設定することで、チームのメンバーが感じていることや意見を拾い上げるきっかけを作ることができます。そのために、ブレインストーミングなどを活用することも有効です。

 そして、発言をするときの伝え方も重要になります。

 相手の意見に対して「否定」ではなく、その意見プラスαを考えたり、「否定」する場合であっても必ず対案を出すなどの仕組みが必要です。

 また意見を述べる際は、相手の意見を踏まえた上で「その意見に対しては…」や「自分の考え方としては…」と主語を「相手」にするのではなく、「意見」や「自分」に置き換えることも大切です。

リーダーの役割③:どんな「意見」も受け入れる風土づくり

 基本は他者尊重と相互理解です。

 みんなが同じ意見である組織は、健全な組織とは言えません。同じ意見ばかりでは、問題が起きた時に解決する術を見つけることができず、結果組織が停滞してしまいます。

 みんなの意見が同じであることは、組織にとってはマイナスとなるのです。

 違う意見があるから組織が成長でき、問題解決につながるという考え方を浸透させていくことが重要です。

心理的安全性の作り方まとめ

 心理的安全性の実現には、リーダーが自ら行動し、発信していくことが重要です。

 「結局リーダーが頑張らなければならないのか…」と思うかもしれませんが、残念ながらその通りです。

 リーダーが自ら行動し、実践していくことがリーダーシップであり、リーダーの振る舞いがチームメンバーに影響を与えます。

 今回の研修の内容を踏まえて、リーダーは自らの行動をふり返って頂きたいと思いますし、チームメンバーは、リーダーを支えられるように、自己研鑽を積みながら、組織の成長に貢献できるようにして頂きたいと思います。

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