【実践スキル】介護職員のためのコーピングスキル~ストレスへの対処方法~

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【実践スキル】介護職員のためのコーピングスキル~ストレスへの対処方法~

 皆さん、こんにちは。福祉施設の研修講師「いし~ちゃん」です。

 このブログでは、介護や福祉に携わる方に向けて、「短時間で好きな時間に分かりやすく学べる」をモットーに、研修内容や明日から使える介護・福祉に関する知識をご紹介していきます。

  • 研修に使える資料がほしい
  • 研修のポイントを知りたい
  • パワーポイントに使える資料が欲しい
  • 勉強したいけど、時間や費用はかけたくない

 このブログを活用していただければ、勉強したいと思っている介護・福祉従事者の方はもちろん、研修を担当している方にとっても役立つ内容を得ることができます。

 今回の記事では、「介護職員のためのコーピング研修」の内容をご紹介していきます。

 コーピングを学ぶことで、介護現場における様々なストレスに対する対処法を学ぶことができますので、ぜひ最後まで読んでいってくださいね。

コーピングとは?

 コーピングとは、「cope(問題に対処する、難題を切り抜ける)」に由来するストレスマネジメントの方法です。

コーピングを学ぶメリット

 これから解説していくのはストレスコーピング、つまりストレスにどう対処していくのかという内容です。ストレスコーピングを学ぶことで、ストレスを感じた時の自身の捉え方やストレスの要因、自分の感情の整理などストレスへの対処法を身につけることができます。

 介護現場は、何かとストレスが溜まりやすい職場です。ストレスコーピングを学び、より良いサービス提供や良好な人間関係を築けるように、しっかりと学んでおきましょう。

介護職員にストレスコーピングが必要な理由

 介護職員は、慢性的な人手不足や身体的な負荷が多い介助、不規則勤務などストレスを抱えやすい環境で働いています。

 公益財団法人介護労働安定センターの「令和4年度介護労働実態調査」の「職場での労働条件や仕事の負担に関する悩み」という項目の調査結果を確認してみましょう。

  • 人手が足りない52.1%
  • 仕事内容のわりに賃金が低い41.4%
  • 身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある)…29.8%
  • 健康面(新型コロナウイルス等の感染症、怪我)の不安がある…29.0%
  • 業務に対する社会的評価が低い…27.7%
  • 精神的にきつい…26.8%
  • 有給休暇が取りにくい…26.2%
  • 休憩が取りにくい…22.6%
  • 夜間や深夜時間帯に何か起きるのではないかと不安がある16.1…%

 最も多く回答されたのは、「人手が足りない(52.1%)」でした。次に「仕事内容の割に賃金が低い(41.4%)」「身体的負担が大きい・腰痛や体力に不安がある(29.8%)」と続きます。

 これらの悩みがある中で、職場で相談しても解決できない問題も多く、それが介護職員のストレスにつながっています。

 ストレス過多の状態は、ご利用者に適切なケアを提供することが困難になるだけでなく、職員の心身の不調を増悪させ、仕事をすることが難しくなってしまいます。

 そうなる前に、ストレスコーピングを学び、ストレスを上手に解消していく必要があるのです。

コーピングの種類

 ストレスコーピングの種類は、大きく分けて3つあります。

  1. 問題焦点型
  2. 情動焦点型
  3. ストレス解消型

 この中で、直接的にアプローチすることにより、ストレスに対処できる場合は問題焦点型コーピングが有効です。

 直接的にアプローチしても変化が望めないストレス対象に対しては、情動焦点型コーピングが適切となります。

 スポーツをしたり、趣味に没頭したり、友達と飲みに行ったり、それぞれに合ったストレス発散方法(ストレス解消型コーピング)があれば、他のふたつと組み合わせながら、ストレスを上手に逃がしていくことも大切です。

問題焦点型コーピング

 ストレスの要因となるストレッサーそのものに働きかけて、それ自体を変化させることで解決を図ろうとすることを問題焦点型コーピングといいます。

 例えば、自分に対していつも攻撃的な言動をしてくる職員に対して、「そういうことをされると嫌な気持ちになるからやめてください。」と伝えて解決に向かわせる方法などがこれに当たります。

 直接的にストレス要因にアプローチをするため効果は大きいですが、その要因が人間関係である場合、自分よりも上の立場(強い立場)にいる相手である可能性もあるため、直接アプローチをすることが難しい場合もあります。

情動焦点型コーピング

 ストレス要因に対して直接的にアプローチをかけるのではなく、自身の捉え方や考え方を変化させていくことに焦点を当てる方法です。

 例えば、ある出来事に対して行った自分の行動を注意されたとして、その時は不快な気持ちになったが、「自分のために言ってくれている」「自分のことを想ってくれている」と捉え方を変えていくことがこれに当たります。

 ストレス要因を直接変化させるのではなく、自分の考え方をポジティブな方向へ考え方を変えていく方法や自分にとって不快な出来事であっても、誰かにとっては意味のあることだと良い部分に着目して、その価値を自分の中で再構築する方法です。

 自分の考え方や捉え方を変えるというのは、言葉で言うよりも難しいため、その場ですぐに実践できるかというと、難しい場合もあるでしょう。

ストレス解消型コーピング

 自分の好きなことや趣味を楽しむなどして、ストレスの軽減を図る方法です。

 「職場で不快な出来事があったから、今日は友達を飲みに行く」などがこれに当たります。一番一般的なストレスへの対処です。

 根本的な解決にはつながりませんが、一時的なストレスの解消につながります。

やってはいけないストレス発散法

 3つのコーピングについて解説してきましたが、注意しておきたいストレス発散法についても解説しておきます。

 それは、誰か(相談相手)に対してストレス要因に対する愚痴や文句、悪口を言うという方法です。ついやってしまいがちな方法ですが、根本的な解決につながらないばかりか、話を聞いてくれている相手も不快にし、さらには職場の雰囲気まで悪くしてしまう可能性があります。

 この方法は、コーピングの考え方からすると、全くの逆効果になってしまいます。

 怒りの感情はパワーにもなりますが、精神的な負荷も大きく、ストレスの要因となる可能性もあります。

 また、暴飲暴食や衝動買い、オーバードーズなどはその後に後悔しか生み出しませんので注意が必要です。

ストレスコーピングのコツ

 ストレスコーピングを実践していくためのコツとしては、自分の捉え方(認知)の歪みを理解していくことです。

 自分が不快に思う出来事や言動を書き出してみて、自分がその内容のどの部分にストレスを感じたのかを具体化していくことが重要です。

 例えば、自分に強く当たってきた職員がいたとして、自分がその言動にストレスを感じたとします。自分の感情からすれば「何か嫌われることをしただろうか…」「何か間違った対応をしてしまったのだろうか…」と。

 しかし、もしかしたら「夜勤が忙しく、とても疲れていた。」「仕事がうまくいかずイライラしていた。」など自分に対しての感情以外でそのような行動になってしまった可能性もある。と考えることもできます。

 固定されがちな自分の考え方や捉え方に柔軟性を持たせることを心がけることで、対処法の幅を広げることができ、ストレスコーピングのより良い方法を見つけていくことにつながります。

ストレスコーピング研修のまとめ

 介護はストレスの溜まりやすい職場です。

 思い通りにならないことや人間関係の悩み、理想と現実とのギャップに苦しむこともあるでしょう。

 そのような強いストレスを抱えたまま仕事を続けていると、心身のバランスが崩れて体を壊してしまう可能性があります。

 ご利用者が安心して生活できる介護の実現や風通しの良い職場環境を作っていくために、ぜひストレスコーピングを活用してみてください。

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