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皆さん、こんにちは。研修講師のいし~ちゃんです。
このブログでは、介護や福祉に携わる方に向けて、「短時間で好きな時間に分かりやすく学べる」をモットーに、研修内容や明日から使える介護・福祉に関する知識をご紹介していきます。
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職場環境を健全に保つためには、メンタルヘルス対策とパワハラ防止の両方が不可欠です。
今回、衛生管理者研修に参加し、これらの課題に対する具体的な対策が紹介されました。この記事では、メンタルヘルス対策とパワハラ防止策の重要性を振り返り、企業が取り組むべき内容をまとめます。
メンタルヘルス対策の取り組み方 ~事業場にできること~
職場でのメンタルヘルス対策は、早期発見・早期治療、復職支援、未然防止対策の3つの要素を順に実施することが重要です。
メンタルヘルス対策が必要な理由
メンタルヘルス対策を職場で推進する理由として、以下の3つが挙げられます。
- 労働災害や民事訴訟の未然防止:メンタルヘルス不調を放置すると、労働災害や過労による民事訴訟のリスクが高まります。対策を講じることで、これらのリスクを未然に防ぐことができます。
- 生産性の向上:従業員のメンタルヘルスが安定することで、長期休業者や離職者の発生率が低下し、職場全体の生産性が向上します。
法的要求:労働安全衛生法に基づく『心の健康づくり計画』が義務づけられており、企業はメンタルヘルス対策を実施する責任があります。
メンタルヘルス不調の兆候と対処法
メンタルヘルス不調は、職場でのストレスや過労、対人関係のトラブルなどが原因で現れます。
従業員がメンタルヘルスに問題を抱えている場合、いくつかの兆候が見られることがあり、早期に気づき、適切に対処することが重要です。
以下では、メンタルヘルス不調の具体的な兆候と、それに対する効果的な対処法について詳しく説明します。
メンタルヘルス不調の兆候
- 業績不振や勤怠不良
- 感情的な不安定
- 原因不明の身体的不調
業績不振や勤怠不良
- 具体例:業務のパフォーマンスが急激に低下する、以前は期限を守っていたのに最近は遅れがち、細かなミスが増える。無断欠勤や頻繁な遅刻、早退なども見られることがあります。
- 注意点:一時的なミスや遅刻は誰にでも起こりますが、これが続く場合はメンタルヘルス不調の兆候として警戒が必要です。
感情的な不安定
- 具体例:些細なことでイライラしたり、突然感情的になったりすることがあります。逆に、普段は活発だった人が急に無気力になり、話しかけても反応が鈍くなることもあります。
- 注意点:特定の出来事に対して過剰に反応する、泣き出したり、怒り出したりするなどの行動が頻繁に見られる場合、精神的に大きな負担がかかっている可能性があります。
原因不明の身体的不調
- 具体例:肩こりや頭痛、胃の不調、体のだるさなど、明確な原因がない身体的な不調を訴えるケースが増えます。また、疲労感が抜けない、睡眠障害があると感じている場合もあります。
- 注意点:精神的なストレスが原因で、身体に症状が現れることがよくあります。特に、原因がわからない体調不良が続く場合は、メンタルヘルスの問題を疑う必要があります。
メンタルヘルス不調への対処法
メンタル不調への対処法について、次の5つをご紹介します。
- 「積極的傾聴法」で話を聞く
- 体調不良者には適切な声かけと受診の勧め
- 仕事の負荷を調整する
- 職場環境の改善
- 復職支援とフォローアップ
「積極的傾聴法」で話を聞く
- 具体的なアプローチ:部下や同僚の変化に気づいたら、すぐに叱責や指導をするのではなく、まずはその人の話をよく聞くことが大切です。「最近、何か悩んでいることはない?」と優しく問いかけ、相手の言葉に耳を傾けましょう。ポイントは、相手が話しやすい環境を作り、否定せずに共感することです。焦らず、ゆっくりと話を聞く姿勢が大事です。
体調不良者には適切な声かけと受診の勧め
- 具体的なアプローチ:心身の不調を訴える従業員には、「最近、調子が悪そうだけど大丈夫?」と声をかけ、必要に応じて医師の診察を勧めます。受診を提案する際は、「体が資本だから、一度専門医に相談してみよう」と相手を責めずに伝えましょう。受診に対する不安がある場合には、産業医やカウンセラーを紹介することも効果的です。
仕事の負荷を調整する
- 具体的なアプローチ:明らかに業務負荷が原因でメンタルヘルス不調が見られる場合は、タスクを再評価し、適切な負荷に調整することが必要です。具体的には、タスクの一部を他のメンバーに分担してもらう、締切を延ばす、プロジェクトの優先度を見直すなどが考えられます。状況によっては、一時的な休養を提案することも有効です。
職場環境の改善
- 具体的なアプローチ:長時間労働や過剰なプレッシャーが原因でメンタルヘルス不調が発生している場合、職場全体の環境を見直すことが重要です。働き方の改革や、業務プロセスの改善、コミュニケーションの活性化などが効果的です。また、オープンで相談しやすい雰囲気作りも職場環境の改善に繋がります。
復職支援とフォローアップ
- 具体的なアプローチ:メンタルヘルス不調で休職した従業員が復職する際には、産業医や専門家と連携して復職プランを立て、職場でのストレス要因を減らす配慮が必要です。復帰後も定期的に様子を確認し、業務負荷を少しずつ調整しながら、サポート体制を維持します。焦らずに、本人のペースで復職を進めることが大切です。
復職支援のポイント
メンタルヘルス不調で休職した従業員の復職支援も、重要な取り組みです。復職をサポートするために、次の点に留意しましょう。
- 休業中の適度な連絡:仕事に関する連絡は避け、状態を確認するためのコミュニケーションを大切にします。
- 復帰の判断基準:病状の回復、日常生活のリズム、職場のストレス要因を総合的に評価します。
- 産業医の関与:復職に際しては、産業医の措置事項をしっかりと伝達し、必要な配慮を行います。
メンタルヘルス対策の基本方針
厚生労働省の指針によると、メンタルヘルス対策には以下の4つのステップが含まれます。
- メンタルヘルス対策のための教育研修
- 職場環境の把握と改善
- 不調への気づきと対応
- 職場復帰支援(セルフケア、ラインケア、産業保健、外部資源によるケア)
パワハラ防止策と企業の義務
一方、パワーハラスメント(パワハラ)への対策も、職場の安全を守る上で欠かせません。パワハラは職場での精神的、肉体的な負担を引き起こし、企業に法的なリスクをもたらす可能性があります。
1. パワハラの定義と要件
パワハラは次の3つの要件を満たす言動を指します。
- 優越的な立場に基づく言動
上司や同僚による立場を利用した不当な行動。 - 業務上必要な範囲を超えた言動
業務指導を装った過剰な叱責や暴言など。 - 就業環境を害する言動
精神的・身体的に被害を与えることで、従業員の業務遂行に支障が出る状況。
2. パワハラの6つの類型と具体例
パワハラは、以下の6つの類型に分類されます。
- 身体的な攻撃:暴力や脅迫行為(例:殴る、物を投げつける)
- 精神的な攻撃:侮辱や過剰な叱責(例:皆の前で「使えない」と言い続ける)
- 人間関係からの切り離し:意図的に無視や孤立させる(例:会議に呼ばない)
- 過大な要求:不可能な業務を強要する(例:短期間で膨大な量の仕事を依頼する)
- 過小な要求:能力に対して不当に低い業務を与える(例:雑用のみを担当させる)
- 個の侵害:プライバシーに過度に干渉する(例:私生活に関する詮索)
3. パワハラ防止法に基づく企業の4つの義務
2020年施行のパワハラ防止法は、企業に対して次の4つの義務を課しています。
- 方針策定と周知:パワハラを禁止する方針を策定し、従業員に周知。
- 相談体制の整備:パワハラに関する相談窓口を設置。
- 迅速かつ適切な対応:問題発生時に迅速に対処し、加害者には適切な処分を行う。
- 再発防止措置の実施:再発を防ぐための改善策を講じる。
4. パワハラの具体例
例えば、ある社員が上司から繰り返し業務上のミスを全員の前で責め立てられることや、同僚たちから意図的に孤立させられ、仕事に支障が出る場合、これらは典型的なパワハラ事例です。
- 身体的な攻撃
例: 上司が部下のミスに対して暴力的な行為(殴る、叩く)を行う。
例: 机を強く叩いたり、物を投げたりして威圧的な態度を示す。 - 精神的な攻撃
例: 会議中に部下に対し「使えない」「役立たず」など人格を否定するような言葉を繰り返す。
例: 他の同僚の前で大声で叱責し、屈辱を与える。 - 人間関係からの切り離し
例: 部下を必要な会議や打ち合わせから排除し、情報を得られないようにする。
例: 社内イベントや飲み会に特定の社員だけ誘わず、孤立させる。 - 過大な要求
例: 通常の業務範囲を超える仕事を押し付け、「終わるまで帰るな」と強要する。
例: 短期間で無理な納期を設定し、休日や深夜まで業務を強要する。 - 過小な要求
例: 本来の役職や能力に見合わない簡単な作業ばかりを指示し、やりがいを奪う。
例: 他の社員が必要とする情報提供を制限し、まともに仕事ができない状況を作り出す。 - 個の侵害
例: 家庭環境やプライベートな問題に干渉し、本人が話したくないことを詮索する。
例: 休日や夜間にプライベートの連絡先に繰り返し電話し、プライベートの時間にまで業務の要求をす る。
パワハラが発生した場合、企業は速やかに対応し、再発を防ぐ措置を講じる必要があります。
メンタルヘルスとパワハラ防止を両立させる企業の取り組み
メンタルヘルス対策とパワハラ防止は、どちらも従業員の健康を守り、企業の生産性向上に寄与する重要な取り組みです。これらの問題を予防・解決するためには、企業内での教育・研修体制の充実や、相談体制の整備が不可欠です。
また、顧問弁護士の存在も重要です。法的な視点から企業のリスクを最小限に抑え、問題が発生した際には迅速かつ的確な対応を取るために、専門家のアドバイスは欠かせません。
顧問弁護士のサポートを受けながら、従業員が安心して働ける職場づくりを進めていくことが、企業の持続的成長につながります。
まとめ
衛生管理者研修を通じて学んだ内容から、メンタルヘルス対策やパワハラ防止が職場の健全性と生産性にどれほど重要かを再認識しました。
これらの問題を軽視することなく、日常的に対策を講じることが、企業にとって不可欠です。従業員が安心して働ける環境を整えることは、企業の信頼性や生産性向上にも大きく寄与します。
今後、企業はメンタルヘルス対策として早期発見や復職支援、職場環境の改善に取り組むだけでなく、パワハラ防止策として、社内の方針策定や相談体制の整備、再発防止に努める必要があります。
これらの取り組みを通じて、従業員がストレスなく働ける環境が整うことで、長期的な労働力の安定確保や、離職率の低減、職場全体の生産性向上を実現することが期待されます。
特に、企業における顧問弁護士の存在は、法的トラブルを未然に防ぎ、リスク管理の観点から重要です。パワハラやメンタルヘルスに関する問題は、放置することで重大な労務リスクや法的リスクに発展する可能性があるため、早期の対応が求められます。顧問弁護士のアドバイスを受けながら、法令を遵守しつつ、従業員の心身の健康を守る取り組みを継続していくことが、健全な職場環境づくりのカギとなります。
これからも、衛生管理者として、企業全体でのメンタルヘルス対策とパワハラ防止に向けた取り組みを推進し、すべての従業員が安心して働ける環境を実現していくことが求められます。